原発と原爆とともに

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放射線の影響!/人類には大した事はない 佐世保時事 1946.12.15

日付 1946年12月15日
題名 放射線の影響!/人類には大した事はない/米国原子爆弾調査団来崎
掲載 佐世保時事 第6号 2面
発行 佐世保時事新聞社


リード
アメリカ原子爆弾調査団、テネシイ州オークリィチ・クリント研究所ヘンシヨウ博士、シカゴ大学ブルース博士、陸軍軍医フラツク、ニィール両中尉


人名
ヘンシヨウ博士/ブルース博士/フラツク/ニィール/都筑正男博士

 

彼らが来日したのは、1946年11月25日、ABCC設立の大統領指令は12月26日。「米国原子爆弾調査団」という訳語があてられているが、これは「Atomic Bomb Casualty Commission」すなわち「ABCC」のことである。

 

ポール・ヘンショー(Paul S. Henshaw, 1912-2002)は、オクラホマ出身、ウィスコンシン大から生物学の博士号、マンハッタン計画に参加した生物物理学者。1946-47年にABCCの代表の一人。1947年から1949年は東京に住み、連合軍の下部組織の研究部門に勤める。「長崎原爆資料館の学芸員と、被爆地の写真を長年研究してきた被爆者の深堀好敏さんの2人が9月に渡米」し米国立公文書館で、1945年9月頃の長崎を訪れた写真40枚が発見された(2013年11月29日朝日新聞記事より)。「写真には、「原子爆弾中 心地」と書かれた標識が立ち、周辺に草木が生えて簡易な住宅も建ち始めている様子などが写っていた。背中一面のケロイドを写した被爆者の写真もあった」と いう。しかしポール・ヘンショーが来日したのは当記事にあるように1946年暮れであるので、撮影者は誰か別の人物であろう。

 

オースチン・ブルーズ(Austin M. Brues, ?-1991)は放射線生物学者。全米研究評議会の物理学者で医学博士。ABCCでは放射線の長期的影響の研究に携わる。

 

ニール(Jim V. Neel, 1915-2000)は、軍医(医学博士)で、陸軍中尉。遺伝的影響の研究を行う。1956年にミシガン大額に遺伝学部を創設。後に人類学者のナポレオン・シャグノンとベネズエラヤノマミ族を調査、その際に彼らの血液をサンプルとして採集したが、彼らの信仰においては、死後に肉体の一部を残すことを許されていないため、返還を要請したがうやむやにしたことでスキャンダルとなった。1990年にはベネズエラ政府から調査拒否されるものの、その後二度にわたる調査委員会が組織され、現在では和解に至っている。インタビュー記事はこちら

 

メルヴィン・ブロックは、軍医で、陸軍中尉。ケロイド痕の要因解明に努めた。

 


参照
占領期新聞・雑誌情報データベース

 

参考

改訂版 虎の巻 低線量放射線と健康影響

改訂版 虎の巻 低線量放射線と健康影響