日付 1945年9月13日
題名 No Radioactivity in Hiroshima Ruin
作者 (ファーレル准将の談話)
形態 新聞記事
トーマス・ファーレル(1891-1967)は、米陸軍の軍人。マンハッタン計画を指揮したグローヴスの副官で放射線被害については詳しい人物。
「爆心地周辺に放射能の形跡はなく、被害区域に住んでも人体への影響はない」
これは、当時の政府が1945年9月3日に米軍に提出した原爆被害報告書に基づいたものである。
報告書名 Part II Report on the Hiroshima Catastrophe (regarding radioactivity), "Full Translation of Reports on Effect of Atomic Bomb at Hiroshima,"
日付 1945.09.06
翻訳 G-2 GHQ/AFPAC Advisory Commitee, Box No.450, AG(B)
調査者 陸軍医グループ(4名)
一方ファーレルは、9月8日、9日に広島、13日、14日に長崎にも赴き、9月9日にには「調査団は貧血と脱毛を訴える10人を検査した。白血球数は著しく低下していた」と本国へ報告している。
これは事実上、9月5日付で英紙「Daily Express」に掲載されたウィルフレッド・バーチェットの記事内容を否定したことになる。
バーチェットは著書「広島TODAY]において当時のもようをふりかえっている(27ページ)。
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上記によれば、1945年9月6日にファーレルは東京帝国ホテルにて連合国の海外特派員向けの記者会見を行ったという。また、調査から戻った9月12日にも会見を開いているが、放射能の影響については全面的に否定していた。
このように、実際の被害を確認していたにもかかわらず、虚偽の発言を行ったことにより、その後の放射線被害に関する調査等に混乱をもたらした。
参照:
第6回報道と再びの災禍 被爆影響 手探りで伝える 台風襲来 また発行停止に(中国新聞)