原発と原爆とともに

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黒い卵 栗原貞子 1946.08.30

日付 1946年8月30日

題名 黒い卵 

著者 栗原貞子 

発行 中国文化研究所

形態 詩歌 私家版

 

広島で被爆した詩人の手による反戦詩集。

 

「生ましめん哉――原子爆弾秘話――」がもっともよく知られる。

 

GHQの検閲と自己規制により一部削除修正(Passed W/Deletion)されて刊行。

 

堀場清子「原爆 表現と検閲」によれば(「黒い卵」などの)「原爆作品は無傷なばかりか、自己規制で削られており、検閲局によって削除処分されたのは、反戦作品等だった。」(34ページ)という。

 

同じく堀場清子「禁じられた原爆体験」によれば、「検閲願書」には発行予定部数が「2,500部」、発行予定日が「8月10日」、検閲依頼日が「7月20日」となっている。反戦作品については、夫、唯一が上海で目撃した日本兵の蛮行などをふまえて書かれた「戦争に寄せる」(1942年5月)等がある。

 

栗原は、検閲のあとに「違反」を犯して、削除や修正を 行っている。削除については、検閲によって作品が形をなさなくなって全文削除したものや、原爆の悲惨さを描いたもので検閲は通過したものの自己判断で削除 したものがある。本来であればあらためて検閲依頼を出さねばならないのだが、語句の変更や加筆もある。

 

のちに「完全版」が刊行される。前半が「詩篇」(29篇)、後半が「短歌篇」(37編)。

 

黒い卵―占領下検閲と反戦・原爆詩歌集 完全版 (1983年)

黒い卵―占領下検閲と反戦・原爆詩歌集 完全版 (1983年)

 

参照:

原爆 表現と検閲―日本人はどう対応したか (朝日選書)

原爆 表現と検閲―日本人はどう対応したか (朝日選書)

 

 

禁じられた原爆体験

禁じられた原爆体験